村上龍「映画小説集」

数日前、なぜか久々に村上龍氏の自伝的な小説を読みたくなりました。

そしてここ数日、「映画小説集」を読んでいました。

福生を舞台にした、半自伝的な小説です。

(龍氏は若い頃、福生の米軍ハウスに住んでいました。当時、米軍ハウスに住む若手アーチストは多かったようです)。




龍氏の文章の、ハードボイルドさというか、タフな感じの精神性に惹かれます。

もちろん、その「タフさ」というのは、ドラッグやヒッピー文化みたいな、浅い表面的なところではない。

では、どういう「タフさ」か?

龍氏の小説は、たまに、驚くほど、大事なところを説明しない時があるのです。

私は割と、「私の気持ちを分かって欲しい」「私のことを理解して欲しい」みたいな(?)、良くも悪くも甘えたようなところがあるのだが(笑)、

だからこそ、龍氏の文章の説明不足な感じ…、

「誰に分かってもらわなくても構わないさ」とでも言い出しそうなタフさに、惹かれることがあります。

もちろんそれは、「バカには説明しても分からない」みたいな、少し自惚れた考え方も含んでいるのかもしれませんが、

そうであっても、そういう強気な自惚れというものが、心地良く感じる時もあります。

(人の目を気にしない感じ)。




龍氏の文章は、私にとっては読みにくいです、

マシンガンのようにダダダダーッと言葉を羅列し、その過剰さに辟易させたところで、「最後の最後で説明不足」、みたいな(笑)。

ズコーッ、みたいな。

私にとっては、龍氏の文章は、ジャンクフードとかハンバーガーとかホットドックとかと同じで、毎日は食べたくないですが、たまに食べたくなりますね。

(ところが、龍氏短編集「空港にて」は、恐ろしく静寂というか、「無心」や「無我」や「静観」のような境地を感じた…。事象や意識の流れを徹底的に静観することで、「自己の不在感」というか、拠り所にしている自我・アイデンティティーの脆さを暴く感じ。タフで自我が強い感じの作品ばかりだと思っていたので、かなり意外でした。機会があったら、また読み直してみたいものだ。今読んだら、また違う印象を抱くかもしれないが)。




ちなみに私にとって読みやすいのは、村上春樹、山田詠美、小川洋子あたり。

もちろん作品によっては苦手なものも多々ありますが。

春樹氏の、表面的にはポップだけど、深遠を覗き込むような怖い感じ。人生や生命の謎を理性で解明しようとしない感じ。(「アフターダーク」「スプートニクの恋人」「納屋を焼く」「午後の最後の芝生」あたりが、特に好きです)

詠美氏の、常人は気付こうともしない感情の裏の感情・意識の裏の意識・自意識の裏の自意識にまで、徹底的に光を当てて、それを極上の美しい言葉で紡ぐ感じ。(「晩年の子供」「色彩の息子」あたりがお気に入り)

洋子氏の、まるで石を一つ一つ積み上げるように、丁寧に丁寧に言葉を紡ぎ、祈りや瞑想のような静けささえ感じさせる雰囲気。(「偶然の祝福」「シュガータイム」あたりとか?)

これらは、文句なく読みやすいし、共感できます。

(※詠美氏「色彩の息子」は、内容に共感するというより、徹底的に自意識の裏に気付いてしまう精神性そのものに共感します)。




でも、音楽鑑賞や人付き合いも同じことが言えるけど、

私の場合、必ずしも「共感」「同意見」だけを求めたいわけでもないです。

むしろ、「自分の発想では、理解も共感も出来ないからこそ惹かれる」という場合も、多いと思います。

音楽で言えば、ベートーヴェンとかシューベルトあたりの音楽は、私は自分自身のことのように、すんなり共感・同調しますが、

例えばメシアンとか、どうしてああいう和音やフレーズが出てくるのか、私の感性・頭脳では、理解も共感も不可能です(笑)、

…でも、だからこそ、聞いていると「スゲー!」と感じるし、私の想像や予想を超えて「美しい!」と感じるし、大袈裟に言えば「超常現象的」とも感じられて、トランスしてしまうような心地良さがあります。




音楽も文学も人付き合いも、

自分と同類・同意見のものを求めていくのも心地良いですが、意外と、自分とは異質と感じるものも、食わず嫌いせず、付き合ってみたり、取り入れてみることで、

むしろ、「自分で自分を狭く限定していただけだった」と、気付くことも多々あるのではないかと思う。




もちろん、どうしても嫌いなものを、無理してまで聞いたり読んだりする必要はないでしょうけど。


でも、「同類」「同質」ばかりに囲まれて生きるのは、私はつまらないかな。

一度限りの人生、凝り固まった自分の感性・常識・見解など、日々、徹底的に破壊したって心地良いのではないか。


…とは言え、粋がって、いかにも自己破壊・自己変革しているように振る舞うのでは、もちろん意味は無いから、

無理することはないし、何かをアピールして演じることもないが、

(「自分はアピールしない人間である」ということをアピールすることもない)、


少なくとも、今現在の私には理解・共感が困難なものに対しても、あまり食わず嫌いや拒絶をしすぎないよう、オープンな心持ちでいたいものである。




そんなわけで、村上龍氏「映画小説集」を読んでの雑感でした。

近々「空港にて」も読み直してみたい。




そして本日はイエスさんお誕生日おめでとうございます、

私のような人間ですら、今日という日は、優しい音楽とか聞きたくなりますね。(^^)

…いや、そこをあえて「オーメン」のサントラでも聞くか?


それはそうとイエス誕生日は諸説あるらしく、本当は不明らしいですね。

まあ、今日が生誕を記念する日であることは、間違いないと思うが。。。

報告

そうそう…、先日の記事で書いた、嶽本野ばら著『世界の終わりという名の雑貨店』という短編小説。

すごく気に入りました!

(『ミシン』(小学館文庫)に収録)。

美しくて哀しかった〜。

物語の締めくくりが、特に好き。

また、折りにふれて、何度も読みなおしたい。

超訳百人一首

超訳百人一首 うた恋い』という漫画を、読みはじめました。

いいなぁ〜、コレ。好きだ。

百人一首の歌を詠んだ人達がたくさん登場し、「その歌をどういう経緯で詠むことになったのか」、「誰のことを想いながら詠んだのか」…、みたいな、切ない恋愛ストーリーがメイン。

まだ1巻しか読んでいませんが、百人一首が、より好きになりました。(^^)

史実に基づきつつ…、人物キャラ設定などは、かなり著者の想像・妄想も多いので、そのおかげで、ばっちりエンターテインメントしているのが好ましい。(笑えるギャグも多いし、人の“心”や“想い”にスポットをあてていて、ホロリとさせられる)。

時代によって、常識・風習・慣習の違いはあれど…、でも、基本的には、いつの時代も同じであろう、人を想う気持ち・恋の切なさ・健気さ・いじらしさ…。

『ちはやふる』も好きだけど、この『超訳百人一首』も、31文字の和歌に込められた想い・感受性などを味わえて、いとをかし。(もともと私、古文や漢文を読むのが好きなのだ)。

…でも、当時の日本で、風流に歌なんぞ詠んだりしていた身分なんて、ほんの一握りのセレブだけだったのだろうな…。

当時、私のご先祖さんとか、(農民だと思いますが)、どこで何をしていたのだろう?

日々、何を想い、何に怒り、何を諦め、何を夢見、何に喜びや幸せを感じていたのだりましょうか。どれほどの悲しみや障害も、味わったのだりましょうか。

ご先祖さんのみならず、それぞれの時代、どなた様も、ご苦労様であります。偉いよ、みんな。

私も、時代・社会・常識を超越した自由な視点など、なかなか持てないけど…、縁があって生かされている「今」という状況、一歩ずつ、磨きましょう、がんばりましょう。泣きなさい、笑いなさい。研鑽。縁。一期一会。まずは、目指せ、出版。(笑)

好きな小説・漫画

「今まで見た中で、特に好きな小説や漫画は?」、などと問われれば、だいたい私は次のような感じ。(・∀・)

【小説】
納屋を焼く、アフターダーク(村上春樹)、シュガータイム、偶然の祝福(小川洋子)、色彩の息子、晩年の子供(山田詠美)、山月記(中島敦)、銀河鉄道の夜(宮沢賢治)、蜃気楼(芥川龍之介)、夫婦茶碗(町田康)、物語が始まる(川上弘美)、猫町(萩原朔太郎)、

【漫画】
ジョジョの奇妙な冒険、HUNTER×HUNTER、まんが道、カイジ、Marieの奏でる音楽、ハピネス、幻覚ピカソ、神のみぞ知るセカイ、うずまき、よん&むー、ハチミツとクローバー、はたらくカッパ、大長編ドラえもんシリーズ(特に初期作品)、すごいよマサルさん、ピンクダークの少年…、

だいたいこんな感じかなぁ。見落としあるかもしれないし、私、そんなにたくさんは色々見てきてはいませんけどね。

しかも、並び順は順不同。さすがに、ナムバーワンは決められない。たいてい、その時読んでいる作品が、その時の1番ですから。

2012.5.26

私、昔ながらの「伝統」とか「道徳」とか呼ばれる価値観が、必ずしも全てスバラシイとは思えないのだ。

昔の文学などを読んでも、正しい道徳・哲学・生き方などにこだわるあまり、排他的な雰囲気になっているものも少なくない。

古典文学なんかでも、“風流”や“わびさび”や“無常観(無欲)”にこだわるあまり…、そういう“風流”や“無常観”を理解できない者を、凡人扱い・馬鹿扱い・無能者扱いしている作品も多い。傲慢で、差別的に思えてならない。

儒教やキリスト教やスピリチュアルなどの道徳観などでさえ、時に、正義や仁義や、教義や愛や、感性(右脳)やポジティブにこだわるあまり、ちょっとでも異端者や、あまり賛同しない者は、容赦なく悪魔扱い・エゴイスト扱い・低レベル人間扱い・ネガティブ人間扱い・愛が乏しい人間扱い・感性が鈍い人間扱い・物質主義人間扱い・理屈っぽい人間扱い…。

あと、ひと昔前の(日本の)教育・芸術・伝統芸能・スポーツ界なども、目上の者には絶対服従であり、暴力的な指導・いびり・体罰が、日常茶飯事だったはずである。八百長とか、派閥とかも…。

そんなわけで、私は、「伝統」とか「道徳」とか、「愛」とか「ポジティブ」とか呼ばれているものが、必ずしも全てスバラシイとは思えない者なのである。

もっと、人それぞれ多様で良いんじゃない?と、思う。

昔ながらの価値観・正義感・道徳観・根性論などには、むしろ、非人道的なものも少なくないのでは?とも思う。

(先日から、人に薦められ、とある本を読んでいて、そんなことを感じました。思想メインの、半分くらい音楽関係の本なのだけど…、どうにも真面目すぎて、道徳的すぎて、排他的すぎて、ゲッソリ…。「愛」とか「伝統」という名のもとに、自分の価値観のみを正しいと思い込みすぎ。自分とは違う流儀・価値観を、認めなさすぎ)。

でも、その本の著者だけを責めたいとも思えないのだ。

私自身も、自分では自覚できないまま、同じように狭量&排他的かもしれないから。

加えて…、今現代、私(私達)が「普通」と感じている常識・価値観・道徳観念なども、もしかしたら500年後くらいには、非人道的な考え方になっている可能性もある。

今、私がスバラシイと感じている生き方・感じ方・価値観なども、常に疑っていたいと私は思う。

子供の頃、年配者から聞く戦争の話など…、私は軽々しく、「戦争反対すりゃ良かったじゃん」「兵隊に行くの拒否すりゃ良かったじゃん」などと、無邪気に言ってしまったけど(笑)、…当時は、そういう社会のルールに従わないと生きていけなかったのだろう。(悲劇ですね)。

でも、それと同じように…、今、我々は嫌々、毎朝満員電車に押し込められて仕事に行き、付き合いたくもない人と付き合い、行きたくもない飲み会に行き、健康を害するほどたくさん食べ過ぎ、趣味やプライベートも充実してないと人から遅れているような気がしてしまうから、強引に趣味とか恋人とか探し、ネガティブ感情や左脳・論理・思考などは絶対的に悪いと信じ込んでいる人も少なくないし…、夢を持たなきゃいけないとか、いやいや、多くを望みすぎてはいけないとか…、アレコレ、あーだこーだ…、

もしかしたら、我々の孫世代に、今の我々の価値観・生活状況を話したら、「なんで嫌々そんな生活してたの?」とか、「そんな非人道的な生き方や考え方や人間関係、拒否すりゃ良かったじゃん」とか、言われる日が来るかもしれない。

(今、私達が「当たり前」と信じている生活習慣・道徳観念なども、本当は、「変」なのかもしれない)。

ある程度は、今生きている時代の常識・道徳・ルール・社会性、大切だとは思う。

でも、長い地球の歴史・生命や人類の歴史…、現状我々の「こうでなくちゃならん」なんて、多分、ただの思い込みである可能性も高い。

生き方や人生は、自分で選べる要素や、自分で変えていける要素も、多々あるはず。

そんなことを、あらためて思った。

本屋や楽譜屋のワクワク感

今朝の地下鉄のラッシュは凄まじかった。(どうやら、ちょうど山手線と京浜東北線が止まっていたらしい)。

オデは、内臓破裂の危機を感じたね。(ま、それは言い過ぎだが)。

ともかく、電車内…、四方から圧迫され、呼吸すらままならない状況…、

藤子不二雄A先生風に言えば「ギニヤ〜ッ!」、荒木飛呂彦先生風に言えば「おぱァァァ〜オッ!」、ってとこかな。

昼食は、またしても新宿の“草枕”でいただいた。(スパイス中毒)。スパイス風味が、脳髄を駆けぬけるッ!殴りぬけるッ!

あと、最近、SFっぽくて、なおかつ純文学っぽい短編小説を読みたい欲求が強かったので、書店にて物色…、

『言葉使い師』(神林長平)、『プリズム』(神林長平)、『魚舟・獣舟』(上田早夕里)、『象られた力』(飛浩隆)、『老ヴォールの惑星』(小川一水)、『西城秀樹のおかげです』(森奈津子)、買った。

いずれも、はじめて読む作家さん。楽しみです。

電車移動中とかに、少しずつ読んでいくツモリダ。

『1Q84』や、小川洋子・川上弘美・山田詠美・町田康あたりの未読の本も読みたかったが、さすがに無理。(ノ-_-)ノ

それらは、そのうちかなぁ…。

とにかく今は、慣れ親しんだ作家さんではなく、今まで触れたことないような感性・世界観・思考回路に浸りたい欲求が強い。

雨ニモマケズ』、好評発売中。

では皆さま素敵な週末を…、というか、素敵なゴールデンウィークをお祈り申し上げます。

YMST.

読書欲

そこそこ忙しいのに、最近、とみに読書欲が高まっていて困ります…。

久々に再読してみたい本も多い。(村上春樹、山田詠美、小川洋子、川上弘実、小林紀晴、芥川龍之介、中島敦あたり。特に短編作品)。

あと、あまり今まで読んだことのない分野、和製SFの近年の作品なども読んでみたいのだ。(こちらは、神林長平、飛浩隆、小川一水、小林泰三、菅浩江あたりの短編集から、今後、少しずつ読んでみたいと思っています)。

星新一的なシャープな切り口や科学的空想、さらには、「人間」や「生命」や、「宇宙」や「時間」ということへの深い思索・探究…。アーンド、もちろんエンターテインメントしつつ、しかも加えて、私好みの文章表現の作品を探しています。(そこまで条件がそろう作品は、なかなか無いだろうけど…。)

あと、先日読んだハードボイルド小説が自分には全く合わなかったので(^^;)、別の作家のハードボイルド作品も発掘してみたい。

さらに加えて、アニメに感銘受けた『化物語』シリーズの原作(小説)も読みたいし、文庫化を機に、やっぱり『1Q84』も読みたいしなあ…。

春のハードボイルド

ふと、思う。ハードボイルド小説を読みたい…。でも、いつも思うのだが、なぜハードボイルド小説って、推理小説や探偵小説ばかり?私、推理ものも探偵ものも、あまり好きではないのだ。事件など起こらなくて良い。淡々とした私小説っぽい感じで、ハードボイルド風のビターテイストな作品、無いものかなあ?

マーラーの本を読む夜…。

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絶妙なタイミングで、面白そうな本を買った。

指揮者・金聖響さんによる、マーラー語り。

ズバリ、『マーラーの交響曲』というタイトルの本です。(前著『ベートーヴェンの交響曲』も、とても面白かった)。

金聖響さんが、マーラー交響曲を、1曲につき1章、タップリ語っている。実に楽しみじゃなイカ!

取り合えず、交響曲第8番の章と、超絶に好きな9番・10番の章は、速攻読みたし。わたくしは。わたくしというのは。

※なぜ「絶妙なタイミング」かと言うと、第8番を、最近仕事で歌ったばかりなのです。(私は、合唱団のメムバーの一人でした)。

いやはや、深々とした、実に霊妙・壮麗・壮大な音世界であった。

あまりに長大かつ膨大な曲なので、軽々しくは、人に鑑賞をオススメしにくい曲なのだが…。

ちなみに、ワタクシも出演させて頂いたコンサートの模様が、2月5日午前6時から放送予定(BSプレミアム)らしいので、一応は、オススメしておきますがね…。(^^;)

久々に

久々に、漫画『テルマエ・ロマエ』を少し読んでみた。

やはり面白い!2010年度の“マンガ大賞”、受賞しただけのことあります!今までに、どこにも無いタイプの作品かと。シリアスの中に充満する笑い。スバラシイ発想だなあ。(^_^)

例えば『HUNTER×HUNTER』のクラピカが、“寿司”について、論理的に冷静に考察するシーンとか、私は笑えて仕方なかったけど。この『テルマエ・ロマエ』という作品は、全編、そんな感じ。(思考や言葉遣いが、無駄に論理的。シリアスになればなるほど笑える)。

しかし、これをアニメ化って(笑)。主題歌やBGMや声優が、ものすごく気になる…。ちょっと、見てみようかな…。

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